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2019年08月30日

相続放棄に関する最高裁判所の判決(令和元年8月9日)について

今月9日に、最高裁第二小法廷で相続放棄に関する判決が出ました。

 

主人公を「Cさん」とします。

負債を抱えたCさんの伯父さん(Aさん)が亡くなり、伯父さん(A)の妻や子が相続放棄をしたため、最終的にCさんの父親(Bさん)が相続人の一人になりました。

 

父親(B)は、自分が伯父さん(A)の相続人になったことを知らずにAさんの死後、数か月後に亡くなりました。

 

それから約3年後、CさんのもとにAさんの借金に関する裁判所からの通知が届き、Cさんは、その時に初めて伯父さん(A)の借金を父親(B)が相続していたこと、及び、その相続をCさんが承継していたことを知りました。

 

Cさんは、上記相続の事実を知った時から3か月以内に相続放棄の手続きをし、裁判所に受理され、併せて、Aさんの借金について責任を負わない旨の訴え(執行文付与に対する異議の訴え)を起こしたのです。

 

裁判の争点は、亡くなってから数年を経過した相続放棄の申述が有効か否か(3か月の「熟慮期間」を何時から起算するか)であると思われます。結論から言いますと、Aさんの主張が認められて(相続放棄は有効)Aさんは伯父さんの借金を背負わなくて済みました。

 

 

ここでおさらいですが、「相続放棄は『3か月以内』にしないといけない」、ということは、最近は一般の方々にもだいぶ浸透してきたようですが、では、何時から3か月以内にすればよいのでしょうか。

 

これについては、まず、民法915条に規定があります。

 

第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。

 

民法は、「何時から」を「自己のために相続の開始があったことを知った時から」としか規定していません。普通に考えると、「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、例えば同居の親族であれば亡くなった時、連絡の取りにくい外国で働いていて、亡くなってから数日後に亡くなったことを知らされた場合などではその時、というところでしょうか。

 

しかし、民法915条をこのように限定的に解釈すると、混乱が生じる恐れがあります。例えば、被相続人(亡くなった方)が借金を負っていた場合、亡くなってからほぼほぼ3か月を過ぎた頃を見計らって、債権者が請求に訪れると、被相続人の借金の存在を知らない相続人は、通常、相続放棄などはしませんから、法的に被相続人の借金を返さないといけない、という事態に陥ります。これについては、最高裁判所昭和59年4月27日判決を検討する必要があります。

続く

司法書士 大関 彰